約 1,794,482 件
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/1294.html
…月日は過ぎて… 「自分をさらけ出す勇気」を取り戻した蒼星石は、次々と新しい試みを試した。 真紅が「もっと幻想的な曲を歌ってみたいのだわ」と言えば、ゴシカルな曲のみで構成したアルバムを作った。 水銀燈が「ハードなソロを弾きたいわぁ」と言えば、ギターソロメインのヘヴィメタルのみのアルバムを作ってみた。 翠星石が「ツーバスをドカドカしたいですぅ」と言えば、次のライブにはツーバスがセッティングされた。 薔薇水晶が「……もっとシンフォニックな曲が…やりたいな」と言えば、キーボード中心のシンフォニックなロックのアルバムを作った。 雛苺が「雛はもっとダークなのが歌いたいのぉ!」と言えば、メロデスのみのアルバムを作った。 もちろん、メジャーレーベルでこれだけ好き勝手やるのは至難の業だった。 実際、雛苺の意見を採用したアルバムを作る時は完全にレーベルと喧嘩になった。 その時、蒼星石がレーベルの社長に吐いたセリフは今でもメンバー内の語り種である。 「僕達はただ好きな音楽を好きなようにやりたいだけだ」 「首切るなら早く切ってよ?レコーディングに支障が出る」 ちょっと前まで悩んでいたのが嘘のようだった。 このころはあまりに楽曲に纏まりがなく。当然、人気も落ちていた。 そして、ローゼンメイデンは一度メジャーから姿を消すことになる。 しかし、再びインディーズに戻った彼女たちはレコーディングやライブを数多くこなし、 全員の趣味が上手くまとまった、今のローゼンメイデンの姿になって再びメジャーに返り咲いた。 新しいレーベルは非常に自由なスタイルだった。 社長が薔薇水晶の父親だったのだから、当然だ。 「(…でも、いくら娘が可愛いからって会社を建てちゃうとは…)」 何という親ばかだろうとメンバー全員が思った。 こうして、現在。ローゼンメイデンは過去に類を見ない特殊なロックバンドになった。 アンダーグラウンドなロックから、一般にも受けるポップロックまで… 音楽性はとても幅が広い。 リスナーからの苦情や、宗教団体や保護者団体からのクレームは相変わらず多い。 でも、蒼星石はもう迷わなかった。 そして、こう言ってのけるのだ。 「僕達はただ、やりたいようにやっただけだ」 と… 「Rock is NEVER DEAD」 Lyrics ID 6m6Z7Qz50 氏(306th take) 作詞作曲 蒼星石 編曲 ローゼンメイデン きっかけは大したことじゃない ただ叫んでみたかった そんなときロックは僕に 居場所を与えてくれた どうしようもない怒りを ぶつけたかったのさ そんなときロックが僕を 受けとめたくれた 暴れたいけど暴れられない 全国の健常な若者達に 一時だけ狂気を プレゼントしてくれる 情けない自分に 嫌気がさしたのさ そんなときロックは僕を 慰めてくれる ただ真面目に振る舞うのは もうウンザリなんだ さぁロックをやろう 君も飛べるよ 空を砕けと ギターが唸る 咆吼は闇を突き抜けて 僕の行き先を 示しだしてる 転がり続けよう Rock is NEVER DEAD 忘却の光に 怯えて 虚無の闇を 恐れて 立ち上がれない僕に 必用なのはLSD(クスリ)じゃなくて Rock Roll! 空を飛べと ギターが叫ぶ 音は炎になって燃え狂う 僕はただ 転がり続ける 頂点に向かって Rock is NEVER DEAD (7)へ戻る/長編SS保管庫へ
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2645.html
https://w.atwiki.jp/rozen-templa/
※編集前に必ず確認してください 勝手に行先頭のスペース等が削除され、体裁が乱れたりAAがずれたりすることがあるようです。注意してください。戻せなくなったり、編集してほしい事や、要望等があればコメントに記入してください。 【現行スレ】 【PEACH-PIT】ローゼンメイデン TALE 99http //changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1268394818/ 【PEACH-PIT】ローゼンメイデン TALE 100 1 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■当スレは、PEACH-PITの漫画「ローゼンメイデン」の単体スレッドです。 ■ここは原作準拠のスレです。アニメと原作は内容が違うので要注意。原作以外の話題は該当スレで。 ■連載ネタバレはYJ発売日まで禁止です。それまでは下記の雑談スレで行なって下さい。 発売日前にネタバレが晒される場合があるので、ネタバレが嫌な人はこのスレを見ないなどの自己防衛をして下さい。 ■次スレは 970を踏んだ人が必ず宣言した上で立てて下さい。立てられない場合は必ずその旨を報告すること。 しばらく経っても反応がない場合は誰かが代わりに立てて下さい。その際、必ず代理になることを宣言して下さい。 なお、次スレのテンプレは下記外部HPのテンプレwikiからコピーして貼り付けて下さい。 新スレが立っても、このスレが埋まってから使用すること。 1000取ったら、いい事あります。 ■前スレ 【PEACH-PIT】ローゼンメイデン TALE 99 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1268394818/ ■関連スレ ●PEACH-PIT総合スレ Part20 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1252582373/ ●★ ヤングジャンプ総合スレ Part81 ★ http //changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1269140000/ ●【基地外隔離】ローゼンメイデン雑談スレ 28【ネタバレ】 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1268977183/ ■外部HP ●原作者・公式サイト「もものたね」 : ttp //p-pit.net/ ●ローゼンメイデン - Web YOUNG JUMP : ttp //yj.shueisha.co.jp/manga/rozen/ ●「ローゼンメイデン」スペシャルサイト : ttp //annex.s-manga.net/rozenmaiden/ ●過去ログ倉庫 : ttp //rozen.sync2ch.cc/ ●Rozen Maiden AA集 : ttp //i.cool.ne.jp/rozen-aa/ ●Rozen Maiden AA集2 : ttp //www.mangaaa.net/index.php?%BA%F7%B0%FA%2F%A5%ED ●テンプレwiki : ttp //www31.atwiki.jp/rozen-templa 2 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■本誌掲載・単行本発売情報 【YJ掲載情報】 TALE 24掲載の19号、発売中! 次回(TALE 25)は24号(5/13発売)に掲載予定 ●集英社 週刊ヤングジャンプ公式サイト - Web YOUNG JUMP : ttp //yj.shueisha.co.jp/ ●集英社s-manga.net YJ : ttp //www.s-manga.net/mens/yj.html 【既刊情報】 ●新装版 Rozen Maiden 全7巻(各\780) 発売中 ●新装版 Rozen Maiden 第7巻 初回限定版(\3400) ※予約限定でしたが、余分に仕入れていた書店などには稀に残っている場合があります。 ●ローゼンメイデン 第1~3巻(各\630) 発売中 ●ローゼンメイデン 第1巻 特装版(\1,500) ※特装版には連載前に掲載されたカラーコミック「少女のつくり方」の別冊絵本が封入されています。 なお、特装版は非常に品薄で再版されるかどうかも不明です。 ●PEACH-PIT画集「Rozen Maiden」 (\2600) 発売中 【よくある質問】 Q.新装版とBIRZ版って内容一緒なの? A.一緒です。 Q.新装版とBIRZ版って混ぜてそろえても大丈夫? A.1~3巻は混ぜてもおk。4巻からはどちらかに統一して揃えないと読めない話が出てくる場合あり。 Q.今YJで連載されてるのは新装版(BIRZ版)の続きなの? A.続きです。 3 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■真紅とみんなのお約束 ____ ______ _______ |書き込む| 名前: | | E-mail(省略可): |sage |  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .ィ/~~~ 、 。 、_/ /  ̄`ヽ} / ,》@ i(从_从)) / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||ヽ|| ゚ -゚ノ| ||/ < ここに「sage」(半角)といれるのよ || 〈iミ 介 ミiつ \______________ ≦ ノ,ノハヽ、≧ テ ` -tッァ- テ ●ここは基本的にsage進行よ。 ●他作品のスレを荒しに逝くのは許さないわ。 ●個人サイトの画像の直リンは良くないわ。専用の画像掲示板を利用して頂戴。 ●安易な他作品との比較は自重することね。それを利用した煽りもスルーしなさい。 ●次スレは 970が立てるのよ。重複を防ぐためにしっかりと『宣言』しなさい。 ●次スレは立ってもスレ立て人が前スレにリンクを貼るまで書き込みは我慢することね。 ●新装版5巻は1人10冊買いなさい。これは『命令』よ。 4 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■注意事項 ●むやみにAAを貼り付けたり、目に余るような連続投稿をしたりしないようにしましょう。 ●特定のキャラクターを貶す書き込みはしないようにしましょう。そのキャラクターを応援している人もいます。 ●その他、他人が不愉快な思いをするような内容や過激な下ネタなどを書き込むのは自重して下さい。 ●荒らし、煽りは徹底的に無視して下さい。荒らしに構う人は荒らしと同じです。 ●荒らしや自治についての議論は上記の雑談スレで行って下さい。 快適な環境作りに皆さんのご理解とご協力をお願いしますm(_ _)m ■専ブラを導入することで、人大杉、荒らしなどによる不快感を軽減させることが出来ます。 ●JaneStyle : ttp //janesoft.net/janestyle/ ●Live2ch? : ttp //www8.plala.or.jp/uro/live2ch/ ●ギコナビ? : ttp //gikonavi.sourceforge.jp/top.html 【携帯専ブラ】 ●iMona? : ttp //imona.k2y.info/taio/ ●べっかんこ? : ttp //ula.cc/ 5 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■各ドールの説明 第1ドール:水銀燈 (すいぎんとう) ...人工精霊:メイメイ ..契約者:柿崎めぐ 第2ドール:金糸雀 (かなりあ) ....人工精霊:ピチカート 契約者:草笛みつ 第3ドール:翠星石 (すいせいせき) 人工精霊:スィドリーム 契約者:桜田ジュン(phase43で契約解除) 第4ドール:蒼星石 (そうせいせき).....人工精霊:レンピカ ....契約者:結菱一葉 第5ドール:真紅 (しんく) 人工精霊:ホーリエ 契約者:桜田ジュン(phase43で契約解除) 第6ドール:雛苺 (ひないちご) .人工精霊:ベリーベル 契約者:柏葉巴 .(phase6で契約解除) 第7ドール:雪華綺晶(きらきしょう) .....人工精霊:? ......契約者:オディール・フォッセー ※上記は新装版(BIRZ版)最終話の時点での状況です。 YJ連載から状況が変化してきています。
https://w.atwiki.jp/nicomad_srs_event/pages/132.html
[部分編集] http //www.nicovideo.jp/watch/sm2893654 投稿者コメント1.コメント2.コメント3.コメント この作品のタグ:第13回MAD晒しの宴 レビュー欄 218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 00 53 42 ID GwrIL0VW0 元ネタ:全部見ました 各キャラと名前を色で対比させてる作品なんで モノクロ・セピアを単独使用はもったいないかと思います。 モノクロ・セピアの画像の中で、何か一つだけ色を残した状態に すると面白い事になるんじゃないかなと思いました。羽だけ、花だけ・・・とか。 フリーでもいいソフトあるので、ムビメカだけじゃもったいないです。 -- 名無しさん (2008-04-07 01 36 13) 310 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 15 11 07 ID krFY61ZZ0 んーとりあえず モノ&セピアの配分がよろしくないんじゃないかな 黒バックの赤いバラは見栄えが良いが 赤バックだと紛れてしまう・・・という概念 単体のカットは良い感じだと思うんだけどね まあ使い方とバランスに注意って事で 同じキャラを主軸にした構成だと単調な展開に なりやすいからその辺も工夫が欲しいとは思った ・・・が銀様!銀様!な世界らしいから これでいいのか?wその辺は詳しくない! シーンの選び方や合わせ方はけっこう上手くやれてるように思う -- 名無しさん (2008-04-07 02 03 09) 564 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/07(月) 01 52 34 ID mPcmq8Vb0 違和感がなくすっきりしていてなかなかいい感じでした。 同時にあまりにもすっきり過ぎて逆に少し物足りなさもある。なんだろうこの感覚w -- 名無しさん (2008-04-07 16 31 14) 691 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 05 46 53 ID MX9bLaMJ0 (MAD) [ ローゼンメイデン ] 雪のツ/バサ (ショートver) 未見。 音楽の始まりが不思議な感じ。 映像が始まって15フレームくらいで曲スタートか、 もう少しセピア調の男の子のシーンを無音で伸ばし(数カット) 水銀燈の登場で曲スタートの方が個人的には好み。 0 04~ 同じアングルの真紅が2回出てくるのは、ちともったいないかと。 0 11~ このカットだけ浮いている。 一連の流れは、「廃墟で左側に水銀燈、右側に真紅」だが、 急に「室内で、中心に水銀燈、左側に真紅」だと不思議な感じ。 最低でも「廃墟」でのツーショットにすべきだと思う。 それに、セピアからモノクロへの変化にも違和感。 変化させるなら、今までずっとモノクロなのだから、モノクロ→セピアかと。 0 25~ まあムービーメーカーだとどうしようもないんだけど 1フレームだけ、ゴミフレームが入っている。 0 54~ 水銀燈と真紅の戦闘らしきシーンから、 モノクロの水銀燈(切ない顔)真紅(驚きの顔)につなぐ意図はなんだろう? 1 22~ うーん、今さらここで戦闘シーンは不思議な感じ。 モノクロは回想シーン(つまり過去シーン)に使うのはわかってると思うけど、 カラーで理解し合えたシーンを出した後に、 モノクロの戦闘シーンだと順番が逆に感じる。 ここで表現したいのは ①『闘いの末、理解しあえた』か ②『すれ違いによって戦わざるを得なかった』かのどちらかだと思う。 ①ならば、モノクロの戦闘シーンの後に、カラーによる2人の和解シーン ②ならば、モノクロの和解シーンの後に、カラーによる戦闘シーン にした方がしっくりくるかと。 1 31 うーん・・・未見なのでなんとも言えないが、 今までずっと出てこなかったウサギをここで持ってくる必要あるのかな? 全体的な雰囲気はいい感じ。 -- 名無しさん (2008-04-09 01 00 14) 808 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 03 17 31 ID Dq4i1Ssj0 深紅と水銀燈という二人に合わせた構成が綺麗 エフェクトの使い方も綺麗 少し難を言えば古いフィルムのチラチラがわざとっぽくて気になったくらい あれだったらモノクロ一色の方が良かったかも 綺麗なMADで1分半という丁度いい長さも心地良い。 ローゼンメイデンの魅力が出ていて良いMADでした。 -- 名無しさん (2008-04-10 21 45 30) 934 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/04/11(金) 19 51 12 b+4YpcmK0 意外な組み合わせでしたが、曲調にあった良い編集だと思います。 ただ、構成として最後のラプラスは少し余計の気もします。曲途中での登場であれば、あまり違和感も無いのですが。 あとモノクロ、セピアを多用していますが、割と使われる効果でもありますし、観ている側の飽きを誘ってしまう可能性があります。 ベタはベタとして、使いどころを抑えた方が良いように思います。印象的に見せたい色の綺麗なカットの前だけに限定するとか。 -- 名無しさん (2008-04-11 23 55 36) 名前 コメント 第13回MAD晒しの宴
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/80.html
Story ID LLAWkCbU0 氏(14th take) 「アイデン&ティティ」 Lyrics ID LLAWkCbU0 氏(14th take) 「はぁ……」 自室の四畳半部屋に寝っころがって、蒼星石は小さなため息をついた。 話は、数時間前… 「僕はロックをやりたいんだ……まだ駆け出しだった頃の、もっと研ぎ澄まされていた頃のロックを」 蒼星石の一言が始まりだった。 ローゼンメイデンは既に安定した人気を誇り、武道館でのライブを成功させたほどだった。 しかし安定期に入るにしたがって、彼女らの書く曲はポップでよく言えば親しみやすく、悪く言えば当たり障りのないものへとなっていった。 そこには人気を持続させたい事務所や音楽関係者らの意図があった。そして彼女らにも、その考えが無意識のうちに音も立てずに入り込んでいた。 「蒼星石さん…それはちょっと…難しいですね」 口を挟んだのはマネージャーだった。 「どうして?確かに今のポップな曲は僕も好きだよ。でも、本当のローゼンメイデンのロックはこんな…」 「ちょっと落ち着くです、蒼星石」 翠星石が熱くなりはじめた蒼星石を制す。いつも感情を表に出さない蒼星石のことばにメンバーたちは少し動揺した様だった。 「蒼星石の言うことは私にもわかるです。でも、今のリスナーが求めているローゼンメイデンは、蒼星石の言うようなのとは違ってきてるです、だから……」 「そんなのっ、おかしいよ。ロックはリスナーに媚びるための音楽じゃないんだ。僕らの本当に伝えたいこととか言いたいことをぶちまけて共有しあうためにあるはずだよ!!!」 「……だったらアンタが曲を作りなさいよ」 一同が一斉に静まり返る。水銀燈だった。 「水銀燈……」 確かに彼女の言うとうりではあった、しかし…… 「ローゼンメイデンなら……このバンドならできるはずなんだ」 僕らのスキルなら、今よりもっといいものが作れるはずなんだ、蒼星石は確信していた。 「……いいわよね、貴方は…。曲も作らず、歌詞も書かずに太鼓叩いてるだけなんですから」 皮肉交じりに水銀燈は答えた。事実蒼星石は一緒に曲や歌詞を作ったのことはあるものの、自分で一曲作ったことはなかった。 「……」 「もうやめようよぅ!!こんなの…嫌だよ」 険悪な雰囲気に雛苺が泣き出してしまった。 「雛苺……」 結局、これからの方向性については今後十分な話し合いが必要と言う真紅の意見にのっとってその日は終わった。 「理想と現実は違うのかな……」 仰向けのまま蒼星色は呟いた。世の中には妥協すべき事だらけだ。でも、せめてロックの世界だけは自分達の気持ちを信じて進める。そう思ってたのに……。 蒼星石は何気なくラジオをつけた。スピーカーからは、雑音混じりにギターと歌声が聞こえた。 それは歌声と呼ぶには余りに汚い、ヨレたダミ声だった。でもその歌は、何故か蒼星石の心に直に届いた。 「(僕もこの人みたいに強く生きられたらなぁ……)」 蒼星石は思う。この声の主はかつて、フォークの世界で確固たる地位を築いた。しかしその人は、自分の表現の赴くまま、あっさりとその地位を捨て、ロックの世界へ進んだ。観客のブーイングの嵐に、涙ながらも力の限り叫び、自分を貫き通したその人。 どうすればそんなに自分を貫けるのだろう。どうしたらそんなに自分達の音楽を信じられるのだろう。 「教えてよ、ディラン……」 その時、奇妙な音が聞こえた。どこか涼しげなハーモニカの音だった。蒼星石は起き上がる。 戸口に、その人は立っていた。 モジャモジャの頭に帽子とサングラスが程よく似合うその男は、ギターを抱え、肩にかけたハーモニカを吹いていた。 蒼星石は呆然とその姿をながめ、そして…… 「うわあああぁぁあぁあwせdftgyふじこあwせ」 絶叫した、つーかパニクった。 どちらかと言うとそれは不審者に対するものだった。 男はハーモニカを吹くのをやめて、蒼星石の方を向いた。 「驚かせてすまない、私は「うわああああ、へ、変質者ぁ~~、誰かあああああ!!!!!!」 蒼星石はその場にあったありとあらゆるものを彼に投げつけた。それらはことごとく彼に命中した。 「痛っ、ちょっと、落ち着い、いたたっ。深呼吸して私の姿をよく見てほしい、あだっ」 その言葉に蒼星石は投げるのをやめた。パーマに刺さった鉛筆を抜いている男は、間違いなくボブ・ディランだった。 当然ディランがここにいるわけが…それ以前に日本語を話しているわけが…ない。どう見ても変質者だ。 しかしそんな彼の声は、不思議と自分を落ち着かせてくれた。 深呼吸しても事態は大して変わらなかったが、 「(少なくとも、悪い人じゃ……ない?)」 なぜか蒼星石は、盲目的に思った。 「……驚かせてすまない。私は……そうだな、アイデンティティのアイデンにしようか」 のっけから電波的なことを言い出した。蒼星石は少し後悔した。 「え、あ、あなたは、その……ディランですか?」 自分でも意味が分からず、蒼星石は聞いた。 「私はディランではない。…正しくは、君が強く思い描いた人物のイメージが私をこの姿にさせた。だから君に私はディランのように見えるのだろう」 言ってる意味が分かるような分からないような……。夢でも見ているような、それでいてはっきりと意識のある奇妙な感覚だった。 「(よくわからないけれど……僕の作ったディランの化身ってことでいいのかな?)」 そんなバカな、と思いながら蒼星石は男を見た。 先ほどアイデンと名乗った人物はいつの間にか部屋の隅に座っていた。こちらの視線には気づかず、ギターを爪弾いていた。 「え~と、ディラ…じゃなかったアイデンさん。あなたはどうしてここに?」 なんとなく話しづらいが、黙っているとさらに気まずいので、蒼星石は聞いてみた。 何故か自分は正座でかしこまっていた。 「さぁね、私は自分の存在意義を知らない。勝手に生まれ、勝手に現れるからね」 予想外の返答だった。 「えっ?そんなの…不安じゃないんですか?」 自分の存在意義を堂々と知らないと言った人間(?)を、蒼星石は始めて見た。 「別に…まぁ、時々思うけど、そんなくだらないもの自分で勝手に探していけばいいだけの話さ」 またもあっさり切り返してしまう。しかし、そっけなさの裏に優しさの垣間見える彼の言葉は、少し好きだと蒼星石は思った。 「歌を聴くかい?」 「え?」 いきなりだった。 「あなたの……ですか?」 「私のことを信じてないようだからね。丁度一曲歌いたかったところでね」 それだけ言って彼は唐突に歌いだした。 その声は間違いなくラジオから聞こえてきたものと同じだった。そして、更に何も通さない生の声はさらに蒼星石の心を震わした。 ヨレた、汚くも心に響く魂を持った歌はまちがいなくディランのものだった。 『Just Like a Woman』を歌い終えたディラン…もといアイデンは、小さく「ありがとう」言ってまたギターを爪弾きだした。 彼が何なのかは結局わからないが、正直どうでもよくなってきた(よくないが)。…少なくとも歌っている彼は少なくとも本物のボブディランだった。 蒼星石は心地よい気分でしばらく余韻を味わっていた。 しばらくすると、どうしても聞きたいことが思い浮かんだ。ひょっとしたら、彼はこのために来たのかもしれないと蒼星石は思った。 「どうしたら、あなたみたいになれるんですか?」 爪弾く音が消えた。サングラス越しに目が合った。 「それは、私に対する質問かい?それとも、ディランに対する質問かい?」 「どちらにも…です。僕、もうわからないんです。僕たちは、僕たちを信じてここまで来たのに、いつの間にか周りに流されていて、みんなそれに気づいているんです。 でも、多分このままじゃ流されたままローゼンメイデン…僕らのバンドです…を見失ってしまいそうなんです。僕は、それを止めようと思って話したんですが、結局喧嘩してしまって……。 僕は、メンバーのみんなが大好きなんです。でも、僕は何もできない。曲も作ってないし、ドラムもそんなに上手くないし。僕は無力なんです、あなたみたいな力をもっていないんです。 こんな、こんな後ろむきなこと言うべきじゃないのですが僕は…僕は…」 両手を握り閉めたこぶしの上に、涙が一粒落ちた。蒼星石はもう喋られず、結んだ口から嗚咽がこぼれていた。 「……私はその質問に対して、言葉で返すことはできない」 静かに、重みのある声で彼は言った。 「かわりにこの歌を聴いて欲しい。これが答えになると私は思う。無責任な話だが。だけどもこの歌で、君がヒントをひとかけらでも見つけられるはずだ」 蒼星石は顔を上げた。彼はギターを構え、歌い始めた。 むか~し、むか~しある所に 良い服を着て乞食に銭を投げる若いおまえがいました。 周りの人々に、「気をつけないとおまえも落ちぶれるぞ」、 と忠告されていたのに、 若いおまえはそれを冗談だと思って聞き流していました。 そして家もなくうろつく人々をあざ笑っていました。 だけど今のおまえは一体どうなんだ? 次の飯を食うために金をかき集めないとならない有様じゃないか。 大声でしゃべらなくなったし、全然自信も持って無さそうだ。 帰る家もなくて、誰にも見向きもされないってのはさあ、 一体どんな気分なんだ? 塔の上の女王や他の全ての上品な人たちは、酒を飲んでいました。 そしてそれができるのは自分達の力のおかげだと思っていました。 あらゆる種類の高価な贈り物を交換していました。 だけどおまえはそのダイヤの指輪を 質屋に入れておいたほうが良かったのでした。 おまえはよくボロを着たナポレオンと、 その言葉遣いを面白がっていました。 さあ、彼の元へ行けよ。おまえを呼んでいるぜ。 おまえに断る権利はないはずだ。 何もなくなったということは、何も失うものがないということだろ? おまえの姿はもう透明で見えちゃいないよ。 隠すべき秘密なんてありはしない。さあ、どうだい? たった一人で帰り道もないまま、石ころみたいに転がっていく気分は? 歌が終わった後、周りは音一つない静寂だった。 その歌は、全然優しい歌詞を詩い その歌は、全然優しくない声で謳い その歌は、全然優しくない男が歌った なのに、その歌は、蒼星石の聴いたどの歌にも負けない優しさがあった。愛があった。 歌い終わったとき、蒼星石は大切なことを見つけた気がした。そしてさっきのように余韻に浸ろうとした時。 「今度は、君の歌を聴かせて欲しい」 彼は言った。 「ふぇっ!?」 蒼星石は変な声を上げた。すっかり喋るという行動を忘れてしまったのだ。 「い、いまなんて?」 「君の歌を聴かせてほしいんだ」 「そ、そそそんな、無理ですこんな、こんないい歌の後じゃ…それに僕、曲なんて作ったことなくて、歌も下手くそでギターも少ししか弾けないしその…」 蒼星石は真っ赤になってうつむいた。ちらりと彼の顔をうかがうと彼は表情を変えずこちらを見ていた。 「私の声は綺麗かい?私のギターは上手いかい?歌に、ロックに大切なものを、君はもう、見つけたはずだ。違うかい?」 「……でも…」 確かに彼の歌を聴いて、歌う彼を見て、蒼星石は見つけた。しかしだからといって彼の前でしかも即興で歌うなんて無理な話だった。 歌も専門ではなかったし、ギターに至ってはCとGとDを四分音符のダウンストロークでしか弾けなかった。 「私のギターを貸してあげよう」 「うっ……」 いよいよ逃げられなくなった。 「君の感じたこと、思ったこと、考えたことを素直に吐き出してごらん。君はもう、歌えるはずだ」 どうにでもなれ、蒼星石は一度深呼吸した。つい先ほど、彼に深呼吸を促されたことを思い出していた。 「(……よし)」 蒼星石は歌った。 ……歌い終わる頃、彼が少し微笑んだように見えた。 後日 ワアアアアアアアァァァ!!!!!! ライブ会場は怒涛歓声の渦に巻き込まれていた。 その後、ローゼンメイデンはポップ志向とロック志向の両方を取り込み、今まで以上にパワーアップするという結果になった。 その影には、メンバーとマネージャーらを説得し、より結束を固めた蒼星石の活躍があったことはいうまでもない。 その熱気はライブ終了後もやむ気配がなかった。 「うわ~凄いわねぇ」 能天気に水銀燈が言った。 「何言ってるですか、もうアンコールも終わったあとですよ」 翠星石だった。確かに観客の熱は異常だった。ロックの反骨と思想が観客をもパワーアップすることになったらしい。 「もうやる曲もないよ、どうしよう、疲れたよぅ」 雛苺が慌てている。 「そうだ、いいこと思いついた」 「?」 水銀燈は黙っていた蒼星石に向いて言った。 「前わたしが言ったことを真に受けてあんたが作った曲。あれ一人でやってきなさいよ」 「ええええええ!!!!そんな…今言われても」 「私も賛成ですぅ。あの曲簡単ですしね」 「そんなぁ、ひどいよぉ」 なんだかんだで押しに弱い蒼星石は結局アコギ一本で歌う羽目になった。着々と準備を始めるスタッフを見つつ、水銀燈は言った。 「あのときは……ひどいこと言ってゴメンね」 「「「!!!」」」 全員驚いて彼女を見た。水銀燈が謝るなんて前代未聞だった。 「あのとき、あんたが作った歌を聴いてね、私、びっくりしたの」 こっちがだよ、と全員心の中で思った。 「綺麗な声で、ポップなメロディで、かっこいい伴奏の曲がいい曲だって今まで思ってたの。ううん、最初の頃は違ったけど、いつの間にかそう思ってきたんだ、自分に甘えてたのね」 一度、言葉を切る。観客のザワザワとした声が聞こえて来る。 「でも、あなたの歌を聴いて、気づいたの。歌に大切なのは、そんな小細工じゃない。本当に愛される歌はなんというか、魂のこもった曲だって、そういわれた気がしたの」 「水銀燈……」 「それ、私も思ったです。それから、凄く感動したです。だから…私からもごめんねです、蒼星石」 翠星石は照れくさそうに笑いながら言った。 「みんな……」 蒼星石は全員の顔を見る。みんな笑っていた。 「ありがとう……」 少し、泣きそうだった。 「さ、あんたの出番だよ」 「行って来るです、蒼星石」 「頑張れ~」 頑張れ負けるなと激励を背に、蒼星石は暗いステージでへと現れる。意外なメンバーの登場にざわめきを増す観客。 「あの、みんな…今日はきてくれてありがとう。もう歌う曲もなくなったけど、最後にこの歌をみんなに聴いて欲しいんだ」 蒼星石が話し出すといつの間にか観客は静かに蒼星石の言葉を聞いていた。 「僕にはきれいな声も、はっとするようなギターの腕もないけど、大切なのはそういうことじゃないと思うんだ……うん、もう言葉はいらないね、最後の曲『アイデン&ティティ』」 誰も聞いたことのないタイトルに、一瞬歓声が上がった。 ジャーン、ジャーンと蒼星石のストローク音が会場に響きわたる。 「アイデン&ティティ」 Lyrics Music 蒼星石 僕は時々わからなくなる 僕はどうやって笑うのか 僕はどうやって話すのか 僕はどうやって気持ちを伝えるのか 一人の夜は僕が消え入ってしまいそうで 震えながら朝を迎えたこともある 怖いよ 寂しいよ 悲しいよ…… するとある日奇妙な男が来て 僕の首をつかんで無理やり立たせたんだ そしたら…… まわりをみれば みんながいた やさしくて きびしくて あたたかい どうして気づかなかったのだろうずっとそばにいたのに 僕は静かに泣いていたよ 僕は男にお礼を言って みんなのところへ駆け出した 僕はもう大丈夫 心配しないで 僕のアイデンティティーはみんなのなかにあったから…… これから僕がみんなを助けたい 臆病な僕の一つだけの勇気 もう一人の夜も怖くない だからみんな そばにいてくれるかい 素人でもわかるギタープレイ、しかしか細くも力の限り歌うその姿は、全ての人の心に響いた。 「(あの人も、見ていてくれるかな……)」 あの後、アイデンは 「もう君に私の必要はないようだ、さよなら。ティティにもよろしく言っておいてくれ」 と言って帰っていった、もとい消えてしまった。 蒼星石に背を向け、ハーモニカを吹き鳴らす彼の姿は次第に消えていった。 「え…待って、僕」 言いかけたところで彼の姿は完全に消えてしまった。 蒼星石はその場にへたり込んだ。 「待ってよ…まだ…お礼も言ってなかったのに…」 この歌は、彼の前で即興で歌ったものをもとに彼を表す歌詞を加えたものだった。 「(これで…お礼になったかな…)」 『アイデン&ティティ』はライブの隠れた名曲となり、懸命に歌う姿が蒼星石の人気を上げた。 そして、ごく一部のファンの中では、この歌を歌っているとき、ステージの隅の袖のところにボブディランによく似た男が一瞬現れるという都市伝説が伝わっていたという。 fin コラボ作品保管庫へ
https://w.atwiki.jp/rozenrock/
logo ID Vnp168c40 氏(130th take) このページは2ちゃんねるのニュース速報VIP板のスレッド、「ローゼンメイデンがロックバンドだったら」に投稿された書き込みを、閲覧の便宜を図る最小限度と考えられる範囲で編集し転載した、まとめWikiです。いたずらはめっめっよぅ。 初めての方、スレッド住人の方は注意事項を是非ご一読ください。 現行スレッド *354th take!!* 【Fucking】ローゼンメイデンがロックバンドだったら【Hostile】 これ以前の過去スレは下記へ2chRozenMaiden過去ログ倉庫 まとめサイトローゼンメイデンがロックバンドだったら ※更新停止中 新しいページ追加や更新の報告はこちらで。掲載連絡用掲示板 画像・SS・楽曲等の作品をこのWikiに投稿する手順はこちらを。Wiki簡易ヘルプ 各コンテンツ内の画像は、元の横サイズが440pixelを超えているものについては、画像をクリックすると元のサイズで表示されます。なお、サムネール表示がないものは15禁程度のエロス要素を含みますので、閲覧は自己責任でお願いします。 Wikiはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 @wikiご利用ガイド FAQ・初心者講座@wiki たすけあい掲示板 来場者数 - since 2006.4.7
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/394.html
普段は犬の散歩やジョギングの人達がまばらに行きかう有栖川神社の敷地だが、 今夜は賑やかな人々の笑い声や歓声が境内を走り回っていた。 その笑い声とはうらはらにライブが始まろうとしているステージの裏には 数組の出場バンドが緊張の面持ちで待機している。 翠星石と金糸雀は何度もラップにあたる歌詞の部分を確認している。 真紅と蒼星石は緊張感を解すためか、熱い紅茶とほうじ茶を口にはこぶ。 水銀燈はi-podのボリュームを上げ、目を閉じるとイヤホンから流れる メロディーに、かかとで小刻みなリズムを取っている。 その水銀燈の後ろをめぐはenjuのメンバーと通りかかる。 同じライブに出場する顔ぶれをチラッと見渡しためぐの目に金糸雀の姿が入る。 ………あらっ、あの子…ふ~ん、ローゼンメイデンってバンドの名前だったの? じゃぁこの子も同じメンバーなの? 水銀燈の後ろで足を止めためぐは、そっとイヤホンから漏れてくる音に 顔を近づけるとクスッと声に出さずに笑うとそのまま他の出場者たちの 中に紛れて行った。 ………なぁに、この香りぃ? 鼻腔にまとわり付くようなめぐのフレグランス。 ロエベ エセンシアの香りに水銀燈のかかとは止まり後ろを振り返る。 そこは他の出場バンドや関係者の人々が行きかうだけであった。 ただ、その人々に見え隠れするように長い黒髪をなびかせて歩いていく 一人の女性の姿がやけに目に付いた。 数発の花火が8月最後の週末の夜空を染めるとステージを見上げている人達から 拍手と歓声が飛び交う。 すでに数組のバンド出場者が演奏を終えるとジュンはムービーカメラにDVDを セットし、ローゼンメイデンの出場を待っていた。 ………あっ、あの女!! ステージを見上げる人々に混じってカメラを構えているジュンの目に 留まったのはローゼンメイデンの前に出てきたenju、めぐの姿であった。 「enjuです…」 そう一言ささやくようにマイクに向かって言うと爆発的な振動が ステージから飛び出していく。 「あら、この曲ってなかなかイイ感じなのだわ」 「そおーですかぁ? 翠星石はもうちぃ~っと軽い感じが好みですよぉ」 「カナもこういう曲は嫌いじゃないかしらぁ、ちょっと見てくるかしら~」 出番を待つ真紅達の耳にenjuの演奏が聞こえてくる。 そのメロディーと歌に興味をもった金糸雀はイスから立ち上がると、 同じように水銀燈も立ち上がり2人でステージを見に行く。 長い黒髪を揺らしながら、きわどい言葉を激しく重いメロディーに乗せて 歌うめぐを見た金糸雀は凍りついたような表情になる。 「あ、あのボーカルの女かしらぁぁ…」 「ん?」 金糸雀の言葉に水銀燈はドラムに書かれたenjuの見字を発見する。 そしてライトの光を浴びながら歌うめぐの動きを目で追いながらニヤリと笑う。 「ブルーR、みぃ~つけたぁ…フフフッ」 そうつぶやいた水銀燈の表情は、なぜかオモチャを与えられた子供が 見せるような笑みが口元に表れていた。 enjuの曲が2曲目にさしかかると金糸雀と水銀燈は無言のまま ステージ裏でまっている真紅達の元に帰ってくると蒼星石と真紅も 無言のままイスから立ち上がる。 少し遅れて翠星石も 「よいしょっ ですぅ」 と立つと、自然と5人で 小さな円陣を組む。 それぞれの肩を抱くローゼンメイデンのメンバー達。 互いの視線は気心知れた同じロックで結ばれた仲間に向けられている。 ―――パチパチ~―――ピーッピュ~ッ enjuの演奏が終わると拍手と口笛がステージに向けて飛び交う。 そんな賞賛の音を聞きながら円陣を組んだローゼンメイデン達は 静かに右手を出し合い、円陣の中で重ねる。 「行くですよッ!」 「うん、行こう。僕達の音楽をヤリに…」 「ハジけるかしらぁ」 「もちろんよぉ~」 「じゃ、行くのだわ!!」 ほんの2mほどの階段、その上には眩しいステージが広がっている。 そこからenjuのメンバーが降りてくる。 汗をタオルでふきながらめぐは金糸雀とすれ違うと、フンッと鼻で笑う。 少し奥歯を噛む金糸雀が通り過ぎると、その後ろを歩く水銀燈はめぐと すれ違いざまに肩をぶつける。 「貴女のブルーRって速いんでしょ~? 弱い者あいてには…フフフッ」 そう言った水銀燈はクスクスッと笑いながらステージに続く階段を上がって行った。 * ライトの光が眩しい。そして発せられる光線が熱い。 ステージに上がったローゼンメイデン達は向けられたライトに目を細める。 水銀燈と蒼星石は軽く音を出し、トーンを確かめる。 翠星石はスティックを握ると細めた目でステージを見上げる人々の 中を見渡す。 ………ジュン、ジュンはどこでカメラを撮ってるですかぁ? 真紅は人指し指でトントンっとマイクを軽く叩いてみる。 金糸雀はヘッドマイクの位置を気にしながらも自分達に向けられている 多くの視線を感じると少し手が震えてくる。 ―――スゥ~…はぁ~ 目を閉じて大きく2~3回ほど深呼吸し、とじた目を開けると真紅も 蒼星石も、そして緊張とは無縁と思われていた水銀燈すら自分と同じ ように深呼吸をしている姿を見る。 ………みんな同じ思いかしらぁ~ ニコッと笑った金糸雀はその笑顔のまま翠星石と目を合わせるとコクッとうなづく。 それと同じく真紅、水銀燈、蒼星石も顔を見合わせると最後の深呼吸をする。 ジュンは人込みの中でそんなローゼンメイデンにカメラを向けている。 真紅達の緊張がジュンにも伝わる。 ………おい、頑張れよ!! ジュンは気持ちの中でそう叫ぶと同時にローゼンメイデンの演奏が始まった。 翠星石のドラムと蒼星石のベースが作り出す振動をバックに金糸雀の キーボードから広がるややポップチューンなサウンドに乗せて真紅は 飛び跳ねるように歌う。 過ぎていく季節に 立ち止まることなんて NO NO NO~♪ 時代(とき)は光の速さで まわって~♪ Right Now!! 水銀燈はギターで同じく軽やかなフレーズを刻むと、 金糸雀はそのリズムに合わせて早口で喋るようにラップを展開する。 ちょっとやそっとじゃ倒れないかしら R Z M Rozen Maiden!!! これマジ最高最速 ロックでライムな薔薇乙女 チョーCoolなリズムでそこのアナタのmindにSTOP!! 滅入った時こそマジ Rozenの飛んでるトーンで今すぐダイブ!! Illust ID i+gC3/k00 氏(79th take) 突然始まったローゼンメイデンの曲、そのメロディーと愛らしくも 今の十代の女の子が時代の波を追いかけて突き進む。 そんな思いがノリのいい軽快な音の波となって人々の頭上に降りてくる。 その波をつかもうと人々はステージに向けて手を伸ばし、 今や有栖川神社横に設置されたステージはローゼンメイデンの色で染められていた。 そこに1台のテレビカメラがステージを映し出す。 「こんばんは、24時間テレビ 愛は地球を救うでは、ここ有栖川市にある 有栖川神社で募金をしています。ところで今夜の神社ではお祭りもしていまして、 今はちょうど地元のバンドが元気な演奏をしています。 では、しばらくその演奏をお聴きください」 レポーターがそう言うとテレビカメラはステージで歌う真紅、そして軽快な 音のシャワーを降り注いでいるローゼンメイデンをアップで映し出す。 それに答えるように真紅はステージを小走りに移動しながら笑顔で人々に 向かって歌う。 Here We Are 地下鉄 階段かけ上がって 息きらして見る~♪ 晴れた空から落ちてくる 未来(あす)へのエモーション~~ 遠くに見えたスリルも今じゃ もうヤミツキの Party~♡ 形のないもの信じて つかんだ 明日行きのチケット Yes! 私はDreamers Only!! その映像は全国放送のネットにより高知県で見ている雛苺の目にも映る。 「あぁ~、お姉ちゃん達なの~、うわぁ~い、凄いの~!!」 雛苺は画面の中で歌う真紅やギター、ドラム、ベース、キーボードを 使って何も無い空間に音符の夢を書き出すローゼンメイデンの演奏に 目を輝かせ、そして一緒に時を過ごした日々を思い出していた。 みつの店でのライブ、一緒に遊んだ日々が目まぐるしく展開する。 水銀燈、蒼星石、真紅、金糸雀、翠星石、そしてジュンに勇気と優しさを 教えてもらった雛苺。 「こんどはヒナが応援するのぉ、みんながんばるのぉ~!!」 そんな雛苺の声が聞こえたのか翠星石と金糸雀はニコッと笑うと 言葉をラップに変えて軽快なリズムに乗せて刻む。 動き出す第6感にアンテナ ビッと立ててアソコもおっ立てて 即効ハマッたこのノリにボリュームいきなりMAX状態でOKかしら? 叫んじゃって波に乗っちゃって歌って踊って Keep On Grooving!! 限界って言ってみても何も始まらねぇです そこのお前! ころがって現実逃避のつもり? めんどう事は明日? 無理無駄いってないで今すぐJust Do It!! 「おっ!、イイねぇ~。この娘達って誰よ?地元の娘?今すぐ現地と 連絡取れるか?」 同じく画面を見ているテレビ関係者や大手レコード会社の人達の目に止まると、 そんな会話が飛び交う。 金糸雀と翠星石のラップが終わり、続けざまに真紅の歌が入ると人々の心に ノリのいい音符の振動を伴った音のシャワーは余韻を残したまま終わった。 ―――ドックン、ドックン… 全てを出し切って歌い、音を出したローゼンメイデンは演奏が終わると 一瞬だけ目の前が真っ白な世界に見える。 そんな中で周りの音は消えうせ、聞こえるのは自分の胸の鼓動だけ。 だが、そんな白昼夢とも思える世界はステージに向けられた大きな拍手と、 歓声、口笛でかき消されていく。 それはステージ上からの音符のシャワーを全身にうけた人々がこんどは 賞賛のシャワーを拍手と歓声に変えてステージにいるローゼンメイデンに 向けて贈っていたのだ。 そんな中でジュンもカメラを構えつつもステージに向けて人差し指を 突き立てて笑っている。 ………やったぁ、凄いよ!!ローゼンが今夜のバンドの中じゃ一番だよ!! 大勢の人達の中から真紅と翠星石はそんなジュンを見つけるとお互い笑顔で ジュンを見つめていた。 ………フンッ。 大勢の拍手と歓声から離れた場所でめぐは鼻で笑うようにニヒルに笑うと タバコに火をつける。 ………そこにいたのねぇ~、逃がさないわよぉ、ブルーR!! 揺れるライターの火をステージから見つけた水銀燈は賞賛の拍手の中で 一人だけ違った笑みをこぼしていた。 (以下執筆継続中) (7)へ戻る/長編SS保管庫へ/(9)へ続く
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/1239.html
Story ID VKghQuR40 氏 (298th take) ローゼンメイデン20△×年カレンダー 3000円 ローゼンメイデンのマネージャー金糸雀が撮影した、メンバーのオフショットを使ったカレンダーです。 全30Pの大ボリュームで、カレンダーとして以外にもパンフレットとしても価値の高い逸品。 メンバーの意外な素顔やシーンが見れるかも!? 短編連作SS保管庫へ
https://w.atwiki.jp/ronebellrose/pages/32.html
下級魔法学院地下ダンジョン管理人兼試験官。 その幼い姿とは裏腹な戦闘能力を持つ。 特殊体質「超人体質」のせいで、成長が8歳から止まっている。 ツンデレ教官の汚名?を返上するため、鬼教官として厳しい口調を心掛けているが、その内容と態度から返上できていない。
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/572.html
Story ID g3Knd0+EO 氏(123rd take) 自分のバイクに勝手にまたがったとかいう理由でチバユウスケを殴る銀様 自分たちをのせた雑誌の記事が気に入らなかったから副編集長を殴る真紅 好きなバンドが記者団に囲まれていて、見えないから記者を殴る薔薇水晶 ベースは人を殴るための凶器だと思っている蒼星石 客席にダイブした後、自分のパートになってもステージに戻れなくて客を殴る雛苺 短編連作SS保管庫へ